星野源 ひとりエッジ1日目@日本武道館

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源さんかっこよすぎるよ。絶望の淵からカムバックした源さん、そんな源さんに生きる力を与えてくれたファンの皆様に感謝しかありません。こんな感動的なライブを見させて頂き、ありがとうございました。

 

エンターテイナー星野源が魅せたスペシャルなワンマンショー

喜び、笑い、悲しみ、癒し、感動、興奮、驚き。これだけたくさんの感情が生まれたライブは今までにない。観客を幸せの絶頂へと連れて行ってくれる。星野源のライブとはそういうものである。

 

星野源という男は非常にホスピタリティに溢れた人間だ。この日のライブもホスピタリティが随所に出ていた。360度見渡せる円形のステージ上で、星野は観客からの声援に1つずつ丁寧に答えていた(全てではないが)。これには驚いた。声援に応えるアーティストはもちろんいるが、源さんは異常なほどに応えてくれるのだ。観客の声に何回もリアクションを取るアーティストなんてほとんど見たことがない。サービス精神どこまで旺盛なんだよこの男は。これは誰にでも真似できることではない。

 

ホスピタリティは演出力、演奏力にも表れていた。この日の舞台転換はアンコールを含め3回。最初のステージはシンプルな弾き語りからスタート。『ギャグ』や『地獄でなぜ悪い』といったアップテンポなナンバーや心地よいリズムが魅力的な『フィルム』や『営業』、NUMBER GIRLのカバー曲『透明少女』など、バラエティに富んだ曲の数々でオーディエンスを魅了する。

 

中でも素晴らしかったのが新曲『Snow Men』。この曲は資生堂特設サイトで公開中の星野源二階堂ふみによる恋愛ショートムービーの主題歌になっている。

大人っぽいメロディーと源さんの甘い歌声が会場に涼しい風を吹き込み、天井に吊るされた巨大なミラーボールから冷たい光が観客に照らされる。猛暑日が連日続く真夏の東京に雪が舞い降りた気がした。

 

当初はバラードだったという(一度サカナ山口と星野の番組『夜のテレビジョン』で聞いたことがあるが、バラードも非常に良かった)『Crazy Crazy』がプレイされ、ここで一旦星野はステージに別れを告げる。そこで始まったのが、ファンの中ではお馴染みとなったニセ明によるVTRコーナーである。今回もスタッフがニセに武道館出演のオファーを出すという内容だったのだが、これが大きな笑いを生み出す。

 

スタッフは出演の依頼をするのだが、ニセはそれに対し難色を示す。理由を聞くとこう答えた。「その2日間潮干狩りに行くから」。会場は爆笑。スタッフが「2日間とも潮干狩りですか?」と聞くと、ニセが笑いを堪え切れない。またも会場は笑いに包まれる。とりあえずスケジュールの確認をするとのことで一旦VTRは終了し、部屋をイメージしたセットが会場の真ん中に姿を現す。

 

6畳くらいの畳と大きなちゃぶ台に乱雑に置かれた本など、もうそこはアパートにあるような普通の部屋。座布団に星野が腰を下ろし、第二幕が始まる。まずはステージにある部屋と似たような場所で作ったという『ばらばら』を披露。おそらく観客の多くは制作していた当時の姿を思い浮かべながら、しみじみとこの曲を聴いていたことだろう。続いて流れたのは名曲中の名曲『くせのうた』。生で聴く『くせのうた』は非常に深みのある曲だった。星野の歌声、ギターの音の1つ1つに感情が込められていて、感動的な雰囲気を作り出す。音にも心が宿っている。そんな事をまざまざと思い知らされた瞬間であった。

 

『Night Troop』が終わった後、星野はライブを一人でやることに寂しさを感じると話し始め、「誰かかわいい女の子でもお茶持ってきてくれないかなー」とささやかな願いを口にする。

 

ここでビッグサプライズが待っていた。「源さーん!」と星野を呼ぶ声。そこにいたのはなんと神木隆之介!二人は日本テレビ系列「探偵学園Q」やテレビ朝日系列「11人もいる!」などのドラマで共演しており、非常に仲が良いことでも有名(星野の著書『蘇える変態』にも神木との関係について綴っている)。大歓声の中登場した神木は星野の願い通り、お茶と水ようかんを差し出す。

 

満面の笑みで会話をする二人が本当に眩しかった。見ているこちらが笑顔になってしまうほど、楽しそうに話す星野と神木。2人の姿はまさに兄弟。「悩みある?相談乗るよ」と優しく言う源さんは、絵に描いたような優しいお兄ちゃんだった。

 

友だちが家に来てなんとなく過ごしている学生的なノリで、星野はおもむろにギターを弾き始める。ライブとしてはあまりにもカオスな状況に、観客も笑いが堪え切れない。そんな心が温まる空気の中、チョイスされたのが今の神木君と同じ年齢(22歳)の頃に作ったという『老夫婦』。神木君が水ようかんを食べながら、源さんがギターを弾きながら歌う。星野源が生み出す音楽とはこういう音楽なのだと思う。日常の中にある音楽。いつもそこにあるメロディ。そんな普通の日々に寄り添ってくれる曲だからこそ、多くの人に愛されるのだろう。

 

そして星野の愛する神木君は笑顔で、源さんの住む部屋を出て行った。源さんがかみしめるように一言。「かわいいなー!」。うん。生神木君すげぇかわいかったです。

またも星野1人に。少し寂しさが漂うステージ上。そんな中ドロップされたのが『くだらないの中に』。これホントに風呂の中で思いついて、全裸で作り上げたのか?って思うほどの素晴らしい1曲。ここでも源さんの豊かな表現力がオーディエンスの心をわしづかみにして、その心を離さない。私の隣にいた女性から鼻をすする音が聞こえる。おそらく涙を流していたのだろう。

 

第二幕のラストを飾ったのが『レコードノイズ』。私はこの曲自体も好きなのだが、その中でもアウトロが特別に好きだ。生の弾き語りはエネルギーにあふれていた。鳥肌立ちっ放しで放心状態。

アウトロになると、ステージを囲うピジョンが天井から降りてくる。星野の姿はビジョンに消えてしまった。ビジョンに映し出されたのは緑あふれる自然豊かな映像。映像とアウトロの穏やかな旋律が会場内を壮大な自然へと導く。鳥の鳴き声や川のせせらぎ、風の音、穏やかな音たちが会場を包み込み人々の心を癒す。

 

ニセのVTRコーナーを挟み、第三幕が始まる。第三幕、最初のナンバーとなった『マッドメン』ではパワフルな演奏を披露。エッジの効いたギターストロークは見る物を圧倒させた。

続く『海を掬う』では海の家のライブにいる女の子みたいに、ゆるいノリで踊るよう女性陣にオーダー。星野が自ら実演し、会場に大きな笑いが生まれる。本編ラスト3曲となった所でステージにドラムセットが運び込まれる。準備の間、黒子さんをいじる姿に源さんの人柄の良さがにじみ出ていた。

 

セットされたドラムを演奏するのはゲストではなく、星野本人だった。まず最初にドラムでリズムベースを作り、それをループさせる。星野はリズミカルなドラムを披露し、会場を大いに湧かす。そのドラムを基にギターを持って演奏開始。『SUN』のカップリングとして収録されている『いち・に・さん』、軽快なギターリフが印象的なダンスチューン『桜の森』をプレイし、会場の熱気もヒートアップ。星野のドラム&ギターと会場の手拍子から生まれるビートが非常に良いアクセントをもたらし、観客が自然と踊り出す。最高のライブ空間がそこには存在した。

 

そしてついに最後の曲がやってきてしまう。最後の1曲との声に「えーーーーー嫌だー」と不満を漏らすファン。そんなファンに星野が一言。「大丈夫。アンコール2曲あるから」。また会場が一気に湧き上がる。

「アンコールはあると言ったが、手拍子はしてね」と付け加える当たりが源さんの良い所。最後にプレイされたのはこの季節にぴったりなサマーアンセム『夢の外へ』。会場全体が眩しいほどのハッピーに包まれる中、本編は幕を閉じた。

 

当然のようにファンからアンコールを望む大きな手拍子が鳴り響く。そこでついに満を持して、「スイカ狩り」からやって来たと思われるニセ明が登場。VTRでブランニューニセ明を披露すると予告していたが、その姿に会場はまたも爆笑が生まれる。なんとニセの頭頂部がツルッパゲだったのだ。フランシスコサビエルのような髪型に思わず大きな声で笑ってしまった。さすがニセ明。

 

今や本物より歌っているんじゃないかと思われる『君は薔薇より美しい』を高らかに歌い上げ、3時間にも及んだワンマンショーはいよいよフィナーレの時間を迎える。最後を飾ったのはもちろんこの曲、『SUN』。観客の手拍子に乗せて、ノリノリな星野が満面の笑みで『SUN』を歌う。日本武道館は愛と幸せに満ちていた。この場にいることに感謝しなければいけない。そう思わずにはいられなかった。星野源は全てのファンに深く礼をし、万雷の拍手が鳴りやまぬ中ライブは終了となった。

 

大泉洋の言葉を借りるならまさに「ワンマンショー、ワンマンショー、ワンマンショー」である。武道館にやって来た1万3000人の全員に楽しんでもらおうという気持ちが非常に伝わってきたライブだった。

しかし、気持ちだけでは観客を喜ばせることはできない。そこにはそれなりのスキルが要求される。星野の持つ武器は全てにおいてハイクオリティ。SAKEROCKで磨いた演奏力しかり、劇団やコント番組で培ったギャグセンスや表現力しかり、あらゆる面で上質。そこに十分すぎるほどのサービス精神と変態な一面が加わる。もうずるいとしか言いようがない。こんな男がいたら誰だって惚れてしまうよ。

 

音楽家としての星野源も素晴らしかった。正直、ギター1本であそこまで多彩な表現ができるとは思わなかった。楽器の数が減れば、どうしたって物足りない感じに聴こえてしまうのが普通だ。しかし、星野源のライブではそれを一切感じなかった。声の強弱、緩急、気持ちの入れ具合、そしてバリエーション豊かなギターサウンド。これらの点を綿密に考え抜いた上で繊細に表現しているからこそ、歌とギター1本で十分にやれてしまうのだ。

エンターテイナー星野源はどこまで進化を遂げるのだろう。まだまだ凄いものを魅せてくれる気がしてならない。

 

個人的には初めての武道館ライブ。想像以上にコンパクトな会場だった。小さい頃1度だけ24時間TVの観覧行った事があり、その時はとても大きく感じたのだが大人になるとここまで違うものなのか。コンパクトであるがゆえに観客がよく見え、アットホームな空気が漂う。会場のみんなで作り上げるライブとしては最高の環境なのだと感じた。

 

星野源について、心配な事が1つだけある。それは忙しさだ。コントやドラマなど多忙にも関わらず、よく練られたライブだった。おそらくそこに至るまでの過程に苦労もあったろう。人を喜ばせようとするあまり、自分を追い込んでしまっているのではないかと時々心配になる。健康な体で活動し続けられる事を祈りつつ、源さんの今後の活躍に注目しようと思う。

 

 

星野源 ひとりエッジ1日目@武道館 セットリスト

1.バイト

2.ギャグ

3.化物

4.ワークソング

5.地獄でなぜ悪い

6.透明少女(NUMBER GIRL

7.Snow Men

8.フィルム

9.Crazy Crazy

10.ばらばら

11.くせのうた

12.営業

13.Night Troop

14.老夫婦

15.くだらないの中に

16.レコードノイズ

17.マッドメン

18.海を掬う

19.いち に さん

20.桜の森

21.夢の外へ

 

アンコール

22.君は薔薇より美しい布施明

23.SUN