ライブレポ Shiggy Jr. 「"ワンマン"スかこれ ~東阪編~」@EX THEATER ROPPONGI

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金沢から始まったALL ABOUT POPのリリースを記念したツアー。全国6箇所の対バン、そして大阪でのワンマンライブを経て、ここ東京のEXシアター六本木でファイナルを迎えた。

この日はどんよりとした曇りの天気。開場時間近くになると、雨が降り始めた。そういえば、渋谷で行われた初めてのワンマンライブもこんな天気だったな。

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あの日の記憶に想いを馳せながら、ショーの開演を今や今かと待ち受けた。

正真正銘のポップバンドが辿り着いた1つの答え

ステージを覆い隠すカーテンが開くと、マンガ家、イラストレーターの江口寿史先生が描き下ろしたニューアルバム「ALL ABOUT POP」のジャケットのパネルがステージ中央に登場する。

場内のBGMにはABBAの『Dancing Queen』やアヴリル・ラヴィーンの『girlfriend』、Owl City&Carly Rae Jepsen『Good Time』といった洋楽ポップソングの名曲をミックスしたSEが流れ始める。流れるポップサウンドにノリながら、手拍子であの4人の登場を待つ。

フロアのテンションが高まる中、Shiggy Jr.のサウンドを支える、原田茂幸(Gt)、諸石和馬(Dr)、森夏彦(B)の男3人衆が登場。いきなりステージ左右、真ん中に用意されたお立ち台に上り、オーディエンスをこれでもかというほど煽ってく。フロアのボルテージはさらにヒートアップ。

ここで照明は一旦暗転。再びステージに照明が付きジャケットパネルが上昇すると、そこにはポップでキュートなフロントマン池田智子(Vo)の姿が。ライブは「ALL ABOUT POP」の1曲目『サマータイムラブ』から幕を開けた。いきなりシギーらしい季節外れのキャッチーなサマーチューンを会場へ威勢よくぶちかます。

「『ALL ABOUT POP Release Tour "ワンマン"スかこれ ~東阪編~』へようこそー!」と小さな体を全身で使って叫ぶ池田。

立て続けに『恋したらベイベー』をドロップ。ハンドクラップを要求し、会場の雰囲気を盛り立てていく。会場を埋め尽くすほどのオーディエンスは手を上げたり、サビに合わせ池田と共にポーズを決めたりして、「お返し」とばかりにシギジュニの演奏を盛り立てる。脳がコントロールできないほど、心のワクワク感が止まらない。

間髪入れずに私の大好きなナンバー『ホットチリソース』が披露される。ドキドキの恋が疑似体験できるミドルテンポなラブソングに胸が熱くなる。ドライブしていく森のベースラインに、心のドキドキを増幅させる諸石のドラミング。リズム隊の生み出すビートが、私のキュンキュンする鼓動を加速させていく。

森と諸石が見合って、楽しそうに互いの音を交し合う姿が私は堪らないほど好きだ。いつも心をウキウキさせられる。

 

ツアーファイナルに来てくれたファンへ始まりの挨拶を交わした池田に続いて、シギジュニが誇るムードメーカー森夏彦がマイクを握り出す。すると会場が「おおー!」とざわつき始める。

「東京帰って来たぞー!」「ただいまー!」との帰還の報告に、ファンから「おかえりー!」と声援が飛ぶ。森は「あったけぇ、、、」と感傷的になって嬉しそうにつぶやく。

「東京のお客さんあったけぇんだ」と急に訛り出し、ふるさとへの帰りを感慨深く池田に語る森。

 

そんな和やかなムードに包まれる中、『day Trip』が始まる。池田が星形のタンバリンを持ち、曲の前に手拍子リズムの取り方をお客さんにレクチャー。優しく丁寧に教える姿は、まるで皆から愛されてやまない学校の先生のよう。観客は教えてもらったリズムを正確に刻み、そのテンポに乗って池田がキュートなボイスで歌い上げる。

 

ライブ前半戦のハイライトは『keep on raining』だ。すごく好きな曲が来て私の心は一気に高まる。この曲はシギジュニのメンバーも大好きな曲だ。Shggy Jr.の魅力がギュッと詰まった、心地よい大人のラブソングがここで投入される。

しっとりしたグルーヴィーなバンドアンサンブルに、池田のスウィートな美声が会場を優しく包み込んでいく。観客はシギジュニの奏でるメロディに身を任せ、ゆらゆらと体を揺らす。「keep on raining いつまででも」と繰り返されるコール&レスポンス。アウトロでは4人が諸石の所に集まり、音楽を全身で楽しむように音を奏でていく。あの光景を見てて、本当にシギジュニはこの曲が大好きなんだなとひしひし伝わってきた。六本木に降り続く冷たい雨も、この日ばかりはいつまでも降り続けばいいのにと思った。

 

この日は初めてShiggy Jr.を見る方も多く来場していた。「初めて見に来たどれくらいいますかー?」と池田智子の問いに、見た目で半数近く、もしくはそれ以上のお客さんが挙手をしていた。ファンの数が着実に増えていることを目の当たりにし、喜びの表情を表す池田と男3人衆。

初めての方へ自己紹介も兼ねて、ここで池田の解説を交えたメンバー紹介が始まる。まずはシギジュニのポップな作品を生み出す最高のソングライターことギターの原田茂幸だ。今夜初めて放つ彼の言葉に注目が集まる中、「よろしくお願いします!」と恥ずかしげに爽やかな挨拶を交わす。

続いてはネコとラーメンとマンガそして中野、プロレス(「もれはないですか?」と一応の確認を池田から受ける)をこよなく愛する男がコールされる。ドラムの諸石和馬だ。「よろしくー!!」と弾ける笑顔で元気に挨拶。

そして、男3人衆の最後はお待ちかねのこの男。酒が大好きなベースマン森夏彦だ。「お願いしまーす!」と人懐っこい笑顔を振り撒きながら歓声に応える。

最後に森からシギジュニのポップアイコン池田智子がコールされる。今宵のショーは植っきーこと植木晴彦(Key)と、マニュピレーターの花井諒のサポートメンバー2人を加えた6人体制でのライブだ。

 

ステージ上には2人のダンサーが登場。『I like it』、『groove tonight』とダンサンブルな楽曲が続けて披露される。『I like it』ではミラーボールが回ったり、『groove tonight』ではオレンジの照明に照らされる中、ダンサーと共に華麗な姿でステージを舞い踊る池田。時に魅せる大人っぽい池田に、思わず心を奪われそうになる。諸石のしなやかに繰り出されるテクニカルなドラミングもなんとも心地が良い。表題曲ではなかなか見せないが、こういった色っぽいダンスナンバーもシギジュニの大きな武器だ。原田茂幸の高いソングライティング力が光る。

オーディエンスが手を左右に振り、ハッピーな空気感の中で『Beautiful Life』が披露され、その後ステージは一旦暗くなる。

 

再び照明が明るくなると、ステージ上はアコースティックスタイルのセットに変わっていた。ウッドベースを持つ森へ視線が一気に集まる。「おおっー!」と歓声が響き渡ると、自慢げにドヤ顔を見せるウッドベース夏彦。彼らのアコースティックライブを見るのは渋谷で行われた初めてのワンマン以来だろうか。

「ドキドキしてる」と緊張気味に池田が吐露する中、久しぶりのアコースティックライブがスタートした。アコギのアルペジオから響き始めたのは『lovin' you』。原田が弾くアコギの哀愁漂う音色と池田から放たれる甘く切ない歌声。1番を歌い終わり、2人の上にそっと重なるように、リズム隊の音が加わっていく。演奏にじっと見入るオーディエンス。

『lovin' you』やこの後歌われた『手紙』、『TOWN』でも感じたが、池田の歌唱スキルはまた1年で大きく成長したと思う。しなやかに伸びて行く品質の高い声は以前にも増してさらに輝きを放っていた。人の心をギュッと締め付ける情感あふれる歌声は、今や武器と言えるほど進化を遂げた。

そして、驚かされたのは歌唱力だけではない。ライブで魅せる演出力もそうだ。お立ち台に立ちフロアを盛り立てる姿や、歌詞に合わせて振りを付けて歌う姿など、「ライブでお客さんにどう魅せれば喜んでもらえるか」をものすごく深くまで追求して考えている。そんな事を彼女のパフォーマンスを見て感じ取れた。「このグループが目指す夢の先を目指し、先頭に立って引っ張っていく」。逞しくゆるぎない意志を放っているように見えた。

 

MCでは池田から「何かアルバムの制作秘話を話してほしい」と振られ、諸石がマイクを握って話をし始める。

「楽器隊としてはこのアルバムはバラードやR&Bとか色んな曲があって、楽器隊としては難しかったけど、色んなジャンルを演奏できるのは楽しいです。お客さんもあったかいし、、なんかすげぇ幸せです」。

アルバムそしてこのライブに対する諸石の想いを真っ直ぐに受け止めたオーディエンスからは、心温まる拍手が巻き起こる。

「なんか全然アルバムの秘話じゃなかったね」ともらす諸石に、「いやいや、諸石史に残る言葉だったよね」と褒める池田智子。池田らしい言葉のチョイスに笑みがこぼれる。

 

あっという間にライブは終盤へ突入。まずは暗闇からお化けの高らかな笑い声が聞こえて始まった『GOHST PARTY』だ。ストロボボーダーのメガネをかけた6人のパリピ集団が、フロアをテンションアゲアゲにしていく。

ここからシギジュニは怒涛のラストスパートを仕掛けてくる。いきなり始まった諸石のドラムソロ。「ついてこれんのかー!?」「やれるもんならかかってこい!!」とエモーショナルでストロングなビートを打ち鳴らしながら、観客を煽りまくる。

フロアが熱狂する中、ハードロックな『dynamite』が始まる。パワフルなドラミングに釣られるようにヘビーメタルバンドのフロントマンみたく、ロックローラー池田がシャウトをぶちかます。

曲の途中で何やら話し込む森と原田。そこでいきなりギターとベースの演奏バトルが勃発した。まざまざと見せつけるように森がアグレッシブなベースを打ち鳴らす。対する原田も負けじと軽やかに華麗なギタープレイをお返しする。とんでもないラリーの打ち合いだ。余談だが、諸石からドラムスティックを借り、それぞれの演奏を終わらせる合図としてシンバルを鳴らす池田の姿がなんともキュートだった。

森がベースを背中に持ってアクロバティックな演奏を見せたかと思えば、原田は自分の歯でギターを弾くという荒業を見せつける。お互いに一歩も譲らない攻防戦に、フロアの熱狂も最高潮に到達。感覚にして5分~10分ほどあっただろうか。会場の熱気はグングン上昇し、室内はまるでサウナ状態。

続けてチョイスされた『oyasumi』では、負けてらんないとばかりに諸石和馬がド迫力のドラミングを魅せて、観客を圧倒する。被っていた帽子を振り払い、頭を振り回しながらガムシャラにドラムを叩く。その姿はまさにロックキッズそのもの。攻撃的なライブパフォーマンスに乗せられ、超満員のオーディエンスは「おい!おい!」と野太い声でメンバーの演奏に声援を送ったり、飛び跳ねたりして溜まりに溜まった感情を爆発させる。今まで見たことのない、なんともエモい光景を見てあっけにとられてしまった。おいおいすごいぞシギジュニ。

 

『oh yeah!!』が終わると、「ALL ABOUT POPー!!!」と叫んだ池田のエコーが会場をこだまし、始まったシギジュニの送るポップなキラーチューン『LISTEN TO THE MUSIC』。背後にあったカーテンが開き、後ろの壁にはきらびやかな装飾が姿を現す。キラキラなポップメロディに合わせて、手を挙げたり、ハンズクラップで彼らのパフォーマンスを全身で楽しむ会場のファン。

森は「まだまだここでは終わりません。これからもみんな付いてきてください!」と、これからの強い想いを観客へ口にする。そして、「幸せです!」と絶叫。あの日のリッスンは史上最も華やかな『LISTEN TO THE MUSIC』だったと言って間違いない。

 

いよいよ本編はラスト1曲となる。「こんなに時が止まってしまえばいいのにと思ったことはない」と溢れる思いを言葉にする池田。それはここにいたファンも同じ想いだったと思う。こんなに楽しくてワクワクする空間にいれる自分は幸せ者だ。興奮を噛みしめながら池田の話を聞く。

色んな苦労や挫折もあって悩んだこともあったけど、自分に関わる全ての人から支えられてやってこれた事への感謝とその想いを語り、最後に池田からずっと伝えたかったメッセージがファンへ贈られた。「私が言いたかったことは、みんなはみんなのままでいるだけでパーフェクトで最高な存在なんです。それだけは忘れないでください」。涙ぐみながらも確かな意志を持って彼女はそう言葉を残した。「どんな事があっても私が全肯定する」。そんな気持ちの詰まったメッセージに、ファンは凄く勇気づけられたと思う。私もそうだ。彼女らしい真っ直ぐなスピーチに目頭が熱くなった。

 

ワンマンショー最後の曲として、新たな出発や挑戦をする人々へ送る応援歌『スタート』を披露。会場の奥の奥まで伸びて行く池田の歌声は、シギジュニのこれからに対する決意表明にも見えた。「まだまだここはゴールじゃない。ここからがスタートなんだ」。そう力強く言っているように見えた。

 

アンコールではアルバムにも入っていない新曲『サンシャインモーニング』を披露。朝を迎えるのが楽しくなりそうなキラキラしたナンバーだ。そして恒例の『Saturday Night to Sunday Morning』がこの日のショーの締めくくりにチョイスされた。

それぞれがソロパフォーマンスを披露し、最後まで観客を沸かせ続けるステージの6人。私達も「Saturday Night to Sunday Morning」のコール&レスポンスで、残ったHPを振り絞るように叫び続けた。シギジュニもシギジュニのファンも本当に大好きだ。そんな気持ちを再確認しながら、私は最後の最後までライブを楽しんだ。

 

演奏が終わると、サポートメンバー、ダンサーを含めた8人が並んでお客さんへ挨拶。その8人に大きな拍手が送られる。シギジュニの4人は会場のみんなに手を振ったり、ステージに降りてファンにハイタッチをしたり感謝の気持ちを体いっぱいに表す。一番最後まで残った池田智子がステージ脇で深々と礼をする。しかも長い時間。支えてくれるファンへの感謝を忘れない4人の想いは、確実に私達の心に届いている。こういう一面に心を惹かれる人も多いはずだ。最初から最後まで本当に素晴らしい一夜だった。

 

老若男女みんながライブを思いっきり楽しんでいた。50代くらいのおじさんは汗を流しながら、ステージに声援を送る。私の前にいた、彼らを初めて生で観るカップルは「最高だね」と笑顔を振り撒き言葉を交わし合う。

メンバーがそれぞれ磨いてきたポップセンスは1つの形となって結実し、1人1人の心を確実に捕えていた。それは彼らがポップというものに対して誠実に向き合い、追求してきたことへの結果だ。今夜のファイナルに来ていたAwesome City Clubのボーカルatagiもこんなツイートをしている。

 

シギジュニは『ALL ABOUT POP』という作品を提示し、ポップに対する1つの回答を導き出した。しかし、もちろんまだここはゴールではない。それは彼らが一番よく知っている。

ここ六本木EXシアターにて、シギジュニの第1章は幕を閉じた。そして、ここから第2章、3章とまだ見ぬ大きな夢へと目指し、4人はまた新たなスタートを切って行った。

 

ここからは余談。帰宅した後、夜ご飯を食べながら録画しておいた土曜日の「べっぴんさん」を見る。そしたら『スタート』の歌詞とリンクする内容だったもんだから、涙が止まらなくなって大変だった。あんなしょっぱいかき揚げ丼は初めて食べた。良い意味で思い出に残る1日を過ごしたとさ。

 

Shiggy Jr.「"ワンマン"スかこれ ~東阪編~」@EX THEATER ROPPONGI セットリスト

1.サマータイムラブ

2.恋したらベイベー

3.ホットチリソース

4.day trip

5.HOME

6.keep on raining

7.I like it

8.groove tonight

9.Beautiful Life

10.lovin' you

11.手紙

12.TOWN

13.GHOST PARTY

14.dynamite

15.oyasumi

16.oh yeah!!

17.LISTEN TO THE MUSIC

18.スタート

アンコール

19.サンシャインモーニング(新曲)

20.Saturday night to Sunday morning